ナガタ源平合戦〜6〜

扉が開いた。その隙間から半身で飛び出し、誰にも自分の前は歩かせない、と鬼のような形相で駅のホームを駆け抜けた。 ○ 中間テスト二日目、僕は目を血走らせて高速長田駅へと向かう電車に乗っていた。 直前のテスト遅刻描写を受け多大なるデジャヴを感じる…

ナガタ源平合戦〜5〜

○ 文化祭が終わると、中間テストに向けて一気に勉強ムードが学校を包む。腐っても県下ナンバーワンの公立校、定員割れとはいえ勉強の出来る人間が肩を並べている。休み時間に単語帳をめくっている奴もいれば、固まってふざけている奴もいる。しかし表向き遊…

ナガタ源平合戦〜4〜

誰もいない教室に女子に連れ込まれるなど、一生のうちに一度あるかないかという所だろうが、こんなにも嬉しくない所為があるだろうか。「見ないからTシャツになって短パン履いて」と言われるがままに身に付け、上からピンクの花模様の浴衣を被せられる。また…

ナガタ源平合戦〜3〜

文化祭の出し物には、大まかにクラス出展と部活出店とがある。クラスの方に関しては、一年は展示、二年は出し物、三年は屋台という風に振り分けられ、僕たちの代の展示の題材は顔出しパネルであった。 文化祭当日の何週間か前からパネルの製作は始まり、何を…

ナガタ源平合戦〜2〜

無念にも頼政・以仁王の挙兵は平氏の軍勢に敗北を喫し、またその三ヶ月後の石橋山の戦いでも、源頼朝率いる源氏は大庭景親らに敗れてしまう。苦戦を強いられた源氏であるが、この風向きは相手方大大将、平清盛の死により変化していく。 強力な指導者を失った…

出来れば毎日18時くらいに更新できたらいいなと思ってます。 スマホよりパソコンの方が読みやすいんじゃないかな…。何でもいいけど…。

ナガタ源平合戦〜1〜

「ナガタ源平合戦」 兵庫と大阪をまたいで東西に走る阪神電車。阪神の阪は大阪、神は神戸の意である。神戸といえば、海と山に囲まれ、中央区三宮の山側には北野異人館、海側には南京町、そこからもう少し西へと場所を移し、元町の商店街を抜けると見えてくる…